JOURNAL

2022.06.08

_経緯

sufutoがうまれるまでの道のり

綴織を多くの人に知ってほしい

2018年の秋に出会った清原織物さん。滋賀県唯一の「綴織(つづれおり)」の織匠です。

1本1本の糸を、爪を用いて精緻に手で織りあげていく綴織は、西陣織の一種でもあり、最高級の織物として、和装業界では知れわたっている存在です。しかし、和装離れも進む近年、織物として知られる機会も少なくなっていました。

清原織物の代表である清原聖司さんは、当時SOHACHIという自社ブランドを既に立ち上げられており、日常的に使いやすいアイテムとして、名刺入れや蝶ネクタイなどをつくられていました。より多くの方に綴織を知ってもらうべく、アクセサリーブランドの立ち上げなども検討されており、それらを踏まえながらも、本当にやるべきこととは何かと、話し合いを重ねていきました。

初期の頃は、清原さんの工房に見学へ行かせていただき、製造方法や業界について教えていただいたり、織物関係の経営者の方にお話を聞かせていただいたりと、リサーチやヒアリングを共に重ねていきました。他にも参考になりそうなお店などを訪れ、他社の事例を共有するなど、お互いにインプットを増やしていきました。

新ブランドかリブランディングか

新ブランドを立ち上げるべきか、すでに存在しているSOHACHIのリブランディングをすべきか、目指すべきことを考えながら、方向性を検討。

現状のSOHACHIブランドは、名刺入れなど、和裁を取り入れた素敵なプロダクトをつくられていましたが、”綴織ブランド”という印象でした。織物を作られているので当然ではあるのですが、お客さんの目線からすると「綴織素材の何かがほしい」と買い物をする人は多くありません。また、綴織でできることには限界があり、他の軸が必要だと話しました。一方、アクセサリーブランドは、織物の使用面積も少なく、高単価がとりやすい市場でもありますが、競合も多く、綴織は加工の難易度が高いこともわかり、高いハードルも見えてきました。

ヒアリングやリサーチを重ね悶々と悩む日々が続く中、綴織のもつ意味を考えていきました。これまで清原織物さんが作られた綴織は、帯や、結納の袱紗、お祭りの装飾用の幕、舞台の緞帳などに用いられてきており、全て、非日常である「ハレ」の日につかわれてきた最高級の織物であるということに改めて気づきます。

「祝いのシーン」に着目し、「綴織=祝いの織物である」と独自に綴織を定義づけてはどうだろうかと思いました。

贈り物や自分へのご褒美など、「祝い」を切り口にしたシーンは機会として多い。ギフトに特化したブランドは存在するが、祝いの織物であるという背景は他にはなく、独自のポジションが作れる。また祝いの場には、革製品よりも布製品の方が好まれるということも強みとして考えられました。

綴織ブランドではなく、祝いの総合ブランドとすることで、綴織以外の素材をアイテムに取り入れられる、ということもポイントでした。手織の綴織では生産量が限られますが、機械織の綴れや異素材も取り入れれば商品開発にも限界はなく、展開の幅が広がります。

こうして、SOHACHIを「祝いの総合プロダクトブランド」にリブランディングしていく方向で決定。

ここで、100年後にも綴織が祝い事の織物として残り続けることを願って「祝い事を担う織物屋になる」ことをビジョンに掲げました。いつか辞書で綴織をひくと、「綴織=祝い事に用いる生地・織物」と定義されるといいですね!と盛り上がりました。

リブランディングとネーミング

ある程度骨格ができつつある中で、更に細かなところを詰めていきます。

定着したブランド名を変えることはリスクが大きいため、当初は先代の名前からいただいたSOHACHIという名前の継続を検討していました。しかし祝いの品々である意図が伝えづらいことから、ネーミングも再度検討することとなりました。

「祝いの織物=寿布(すふ)」という造語を作成し、「祝いの時を寿布と過ごす」というイメージから、名前を「sufuto」に。「あの時を共に過ごしたモノだ」と思い出と共にモノが愛されていくように、「大切な時を、記憶に綴る」というコンセプトをかかげました。同時にブランドの目指すべきトーン&マナーを模索するなど、ブランドの骨格を仕上げていきました。ブランドの目指す世界観を共有するためのイメージコラージュの作成では、お互いに良いとおもった画像を集め、シートを完成させていきます。なかなか互いにしっくりくるものが少なく難航しましたが、最終的には唯一お互いがこれだ!と思ったイメージに辿り着き、それをデザインやカラースキームの足がかりとしていきました。

ロゴの開発

ブランドの組み立てやイメージコラージュができあがってきたため、ロゴの開発を進めます。

綴織では家紋を織ることが多く、古い家紋帳がたくさんあるとのことで、清原さんより譲り受けたものがヒントになりました。ロゴは祝い事の象徴でもある、水引の「あわじ結び」をベースに、終わりがなく続いていく、家紋の「結び輪違い」をベースにデザインを検討していきました。綴織が百年先にも織り続けられるようにと、糸や織物をイメージした表現にし、繰り返し続いていくマークを「寿布紋」として開発しました。この紋様は、清原織物がおりあげる織物=寿布であることを象徴するマークとして、sufutoブランド・コーポレートと共通のものにしています。

商品企画と開発

商品展開も同時に検討を進めます。SOHACHIの既存アイテムの中で、名刺入れやふくさなど、祝いのシーンにもふさわしく、売れていた物はアイテムとして残しながら、祝いのブランドにふさわしく、デビューの顔となる新商品を検討していきました。

群で見た時に祝いのシーンが満遍なくなるように構成したい・デビュー時のラインナップは綴織を用いた商品にしたい・贈り物として可能な価格帯にしたい・などさまざまな切り口で検討し、商品を企画していきました。

そこでうまれたものが、新たな出産祝い「命名指輪」と母子手帳ポーチにもなる「お守り袋」です。

名刺入れ、ふくさとあわせて、出産祝いや成人祝い、就職祝いなど様々な祝いのシーンが想像できるように商品を構成。生地が硬く加工方法や形状が限られるため、開発にはかなり時間を要しましたが、試作に向けて奔走&チャレンジをしつづけてくれた清原さんをはじめ、清原織物のみなさんや、さまざまな協力会社の皆様の力で無事形になり、デビューを迎えました。商品開発については、こちらの記事でより詳細にご紹介します。

デビュー

商品の方向性ができあがってきたタイミングで、展示会に向けて、撮影や、リーフレットなどコミュニケーションツールの作成、WEBサイトの作成などを行い、直前まで試作を繰り返しながらも、2020年2月の展示会「大日本市」にてデビューしました。

清原織物さんとは、1年4ヶ月の歳月を共にしながら、ブランドづくりを共にしてきました。その間には、さまざまな紆余曲折や、ハードルがありました。その都度、清原さんとどうあるべきかを話し合いながら作り上げていきました。

デビュー後は、これまで作った骨格を維持しながら、清原さん自身でブランドの運営や、商品の企画をされています。商品には嬉しいコメントが寄せられたり、ユニクロのパリ店に清原織物さんが織られた緞帳が飾られたりと、祝い事を担う織物屋として、ご活躍されています。

INFORMATION

期間 | 2018.10-2020.2

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命名指輪が生まれるまで(後編)

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