JOURNAL

2024.03.28

_経緯

形をもたないデザイン

形をもたないデザイン

WEBサイトに掲載するものは、形としてのアウトプットがあるものが中心になりますが、デザインの仕事は、形にすることがゴールではない仕事もたくさんあります。
  • パンツメーカーの事業方針のご相談。
  • 体操服メーカーの事業方針のご相談、学校提案用商品の企画デザイン。
  • プロダクトブランドのブランド整理や商品開発のご相談。
近頃はこういった、事業方針やブランド整理などのご相談もいただいています。掲載が難しい仕事もあるため、細かくご紹介できないこともしばしばですが、ご紹介できる範囲で紹介していこうと思います。

生駒市との取り組み

今回は生駒市とのお仕事をご紹介します。生駒市は創業支援などのサポートが手厚く、これまでに3回、伴走支援に携わっています。
はじめの2回は、生駒市主催の経営塾の卒業生が対象で、希望者のうちプレゼンテーションで選出された各事業者にデザイナーが伴走支援を行うというもので、創業間もない方や、創業予定の方を対象にしていました。
1年目はすでに開業されている美容鍼のサロン、2年目はこれからバッグブランドを立ち上げたいという方の伴走を行いました。主にはヒアリングを経て、課題を整理し、必要に応じてビジョンの整理を行なったり、イメージコラージュの作成、商品の具体的なアドバイスなどを行なってきました。
2回目の様子。リサーチやイメージコラージュの様子。

既存事業の改善

3回目の今年は商工会が主体となり、すでに事業を営まれている方が対象となりました。私は創業40年の陶器と化粧品の販売店を営むイマジンハウスさんの担当をさせていただきました。
伴走支援は全3回・各2時間とかなり限られた時間。1回目はヒアリングに徹し、課題を洗い出し、残り2回で何に取り組むかという順で相談を進めました。とても真摯に取り組んでいただき、1回目にアドバイスをしたことが2回目では実行されているなど、とても行動力のある方でした。自社の店舗以外にも、地域でマルシェを企画したり、商店街の振興のために活動したり…と顧客や、周辺店舗、生駒のことを深く考えられていました。ただ、どういった想いでそれを行ってきたかを明確に説明する言葉がなかったこともあり、周りになぜ様々な活動をしているのか、伝わらないもどかしさもありました。そのため、今回はビジョンの整理を中心に行い、今後の事業展開の軸となる言葉をつくりました。また実務面でも、商品や店舗ディスプレイのアドバイスを行い、今後の取り組みの方針などもご提案しました。
3回という短い期間では、十分な取り組みとはいきません。ただ短い中でも、現状分析や今後取り組むべきことやヒントを共に考えていくことは可能だと思っています。これまでの生駒市との取り組みでは、意匠という意味でデザインをすることはなく、課題の整理や想いの表現などを中心に行なってきました。課題の発見や整理することはデザインの職能の大きな一つですが、こういった相談がデザイナーにできるとは思っていなかった、という方も多くいらっしゃいます。
そういった意味でも、自治体主導でこのような機会があることはとても大切だと感じました。