2023.03.17
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はじめての写真展
13年越しに写真教室へ
2022年の春から、写真教室に通っていました。
古墳に囲まれた奈良の地元では、おしゃれなカフェなどがそうそうない中、高校生の頃に突如現れたのがナナツモリというカフェ+写真館でした。地元に素敵なお店ができた感動は今も忘れません。
学生になった二十歳のころ、代表でフォトグラファーの田村さんと知り合い「写真」というものの魅力を教えていただきました。そこからは日々一眼レフを携え写真を撮ってと趣味で楽しんでいました。ナナツモリが主催する写真教室にも通いたかったけれど、学業・会社とその時々で難しく、卒業展示を見にいくばかりでした。
そんな16年続けてきた写真教室が、今年で最後になるということで、これはもう参加するしかないと、通い始めたのがこの1年でした。
そんな教室の集大成でもある卒業写真展が、3月21日(火・祝)~26日(日)まで開催されます。これまでの卒業生もあわせて約70名の作品が並びます。年齢も職業も様々な卒業生・生徒が手がけた作品は、どれも見応えがあります。写真表現に向き合った作品ばかりです。
21日は在廊しています。26日も時間帯により会場にいるかと思いますので、ぜひご来場いただけると嬉しいです。近くには教室を主催するナナツモリのカフェもあり、ぜひあわせてお越しくださいね。ランチも、スイーツもとっても美味しく素敵なお店です。
はじめての写真表現
いろんな課題に向き合いながら写真を学んだ1年でした。写真はデザインの仕事とも密接するものなので、近しい存在ではありましたが、改めて写真史を学んだり、写真展へ集中して足を運んだりと沢山インプットをできたことが楽しく学びになりました。
絶景好きで、普段景色ばかりを撮っていた自分が、いざ写真表現となると、一体何を撮ろうか…としばらくは壁しかみえませんでしたが、今回は自分の原点に触れる作品をつくることになりました。
中学や高校の頃、紙を切って貼って、平面構成をするのが趣味でした。高校時代は、部活のポスターなどを切り絵で作ったり、いろんな制作物を紙とハサミで作っていました。コロナ禍のステイホームの時にも100枚ほど作っていました。
大学生の頃には、卒業論文で「線」が果たす役割について研究していたことがあり、20世紀初頭の抽象表現に興味を持っていました。マレーヴィチや、カンディンスキーなどの抽象絵画から、ロシア構成主義などデザインにも発展していく時代です。当時はロトチェンコの写真が好きでPCのデスクトップ背景にするほどで、最近写真集も手に入れました。
この時代を象徴する芸術の教育機関であったバウハウスでは、建築やデザインをはじめ、写真も重要視されていました。そこで教鞭をとっていたモホリ=ナギは、カメラを用いずに印画紙に直接モノを置いて感光させるフォトグラムを開発するなど、光と造形の様々な実験を行います。
「写真は光の造形である」
「光は新しい造形媒体として、ちょうど絵画における色彩、音楽における音色と同じように、操作されるだろう」
という言葉を残しています。ナギが行ったことは、カメラを用いて何を表現するのかではなく、光や運動や時間を、どう出力するかという壮大な実験だと感じます。
現代のカメラはこの20世紀初頭からは大きく進化をとげ、圧倒的に情報量が増え精緻な表現が可能になりました。ただ、光や運動、時間という存在は時代によって変化をしない恒久的な存在です。
今回は、現代のカメラを用いながら、光、運動や時間という要素を画材のようにとらえて、描くようにシーンを切り取ることを試みました。結果的には、これまで行っていた平面構成を、空間で行うような感覚に。決めきった構成をそのまま捉えるのではなく、動きや光を受けてその瞬間にしか捉えられないものがあることに撮る中で気付かされました。
日本では写真と訳されているphotographですが、photoは光、graphは描くという意味をもち、写真とは光の画なのだと考え、タイトルは「光画」。和紙に印刷を施し写真と画の境界のような表現を目指しました。
なかなか言葉では表現し難いのですが、ぜひ会場にて実物ご覧いただけますと幸いです。