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MENOU

MENOU

福井県の事業F-TRADで、若狭めのう細工の宗助工房さんと共に商品開発を行いました。F-TRADとは、福井県の事業で、伝統工芸の職人とデザイナーが協働し、現代のくらしにあう工芸品を開発し販売するプロジェクトで、2022年の8月から開発を行い、2023年1月30日より販売が始まりました。

若狭めのう細工は、「めのう石」を少しずつ削り出し、鶏や鯉の置物など様々な形を生み出していく工芸品です。奈良時代が起源とされ、明治時代には美術工芸として隆盛を極めましたが、現在若狭めのう細工を継承するのは、宗助工房の上西宗一郎さんのみ。上西さんは、県外で働かれた後にUターンされ、若狭工房という伝統工芸の体験施設で先代に師事された後、「宗助工房」を立ちあげられました。現在も若狭工房にて、実演や体験指導をされながら、めのう細工を作られています。

石は硬度が高いため、少しずつしか削れず、一つのモノを作り出すのに数ヶ月〜1年など長い年月が必要になります。また、石の形状にあわせて形を作りあげるので、できるものはすべて1点もの。業界としても適切な原価計算の考え方がなく、商品としての展開や流通にも難しさがありました。しかし、産地としてあり続けるためには、適切に利益をうみだし、めのう細工が商売として成り立つ必要があります。そこで今回のプロジェクトでは、
・継続的に量産ができること
・利益が適切に出る原価構造にすること
・市場で成り立つ価格帯にすること
を達成すべきこととし、商品企画を進めていきました。

今回のプロジェクトは販売まで期間が半年ほどと限られた時間だったため、数ヶ月かけて形をつくりあげるめのう細工には厳しい状況でもありました。
その中で着目したのが、石のかけらです。
工程の中で「欠きこみ」という石を金槌で少しずつ削る工程があり、その時に出てくる副産物の石のかけらには、刃物でカットされたものとはまた異なる自然な美しさがありました。その形を活かせるものとして、ピアス&イヤリングの方向で商品をつくることに。このかけらは、めのう細工を作るからこそ生まれる素材であるため、継続的な生産が可能です。

ただ、アクセサリーだけのブランドになってしまうと、本来のめのう細工への波及がありません。そこで、めのう細工を残していくためにも、ロードマップを立てていきました。今回のアクセサリーでは、まずめのう細工自体を知ってもらうことを目指し、そこから、現代のインテリアにもあうようなカジュアルなめのう細工を開発する。F-TRAD→中期目標長期目標をそれぞれ定め、目指すこと・現在地を整理していきました。

ブランド名は、まずその名を知ってもらうべく「MENOU」としました。ロゴは、ずっしりとしたおもたさをもたせながら、シンプルな書体を 金槌で削っていったような線の削られかた(ゆらぎ)をもたせました。 小さく表現すると、一見プレーンな書体に見え、線の揺らぎから柔らかさを感じとれる。 アクセサリーとしても、工芸品としての雰囲気も持つこともできるものを目指しました。

長い時間かけて作りだされてきた石や、めのう細工の品格を考え、ピアスパーツには18金を使用し、キャッチにも操作性がよくなくしづらいものを採用。イヤリングは、銀にニッケルフリーの金メッキを施し、特許を取得された耳が痛くなりづらいパーツを採用しています。せっかく買ったイヤリングが、痛くてつけられないことや、金属アレルギーでかゆくなってしまう、ということは自身にもあり、長く愛用してもらえるようにストレスのないものを選びました。

パッケージデザインは、石の色が映える白いクッションを採用し、黒の箱にロゴを黒のツヤで箔押し。ECサイトでの販売が前提であったことから、発送する際にも低価格で配送できる厚みに設計しました。写真でも、石の透明感が表現できるように、光と影を活かしながら撮影いただきました。

CREDIT

Project Management|TSUGI
Photographer|Kyoko Kataoka
Model|Risako Setogawa(TSUGI)
Designer|Sakiko Nagasuna